コンドの購入手順(新規分譲vs中古)

コンドを購入する場合は、新規分譲のコンドと中古物件(もしくは完成済みではあるが未分譲の物件)の場合が考えられます。大きな違いは新規分譲のコンドはまだ建設されておらず、通常3年位待たなければなりません。つまり実際に物件が出来ていないため、実際の住戸を再現した展示用のショーフラット(Show Flat)をみて物件を購入する必要があります。中古もしくは完成済み未分譲の物件は、実際の物件をみて決めることが出来ます。また購入価格の支払いにも違いがあります。新規分譲の場合は購入価格を建設工事の進捗状況に応じて順次支払っていくのに対し、中古もしくは完成未分譲の場合には売買契約が完了すれば全額支払う必要があります。

購入の手順説明の前に、新規分譲コンドの大前提を説明しておきましょう。コンドのディベロッパーは例外を除いて、土地購入から5年以内に全戸数を売却しなければなりません。それが出来ない場合は大きなペナルティーを支払わなければなりません。そういう理由もあり、通常分譲は建設工事開始前後から行われます。また新規分譲の初期段階では、なるべく売れ行きが良くなるように割安な値段設定をします。そしてだんだんプロジェクトが完成に近くなるにつれて設定価格が高くなるのが普通です。ただこれもマーケット状況によっては、後で安くなることもあります。例えば今回のCovid-19 でサーキットブレーカー後は値段設定を低めに調整しているディベロッパーが見受けられ、その為6月の売れ行きは好調だったようです。ただ購入をしても完成まで3年程度待たなければなりません。この辺は『新規分譲それとも中古?』のページで詳しく説明していますのでご参照ください。

まずはより複雑な新期分譲コンドの手順から説明しましょう、シンガポールの不動産ポータル”99.co”の記事では、新規分譲コンド購入を以下の8ステップに分けています。各項目については詳しく説明します。

  1. 不動産購入の資金算段(自己資金、融資の確認)
  2. 物件探しと数軒の候補コンド選定
  3. 選定候補物件の内見と購入物件決定
  4. 予約手付金支払い物件確保
  5. 弁護士を雇い、資金手当て確定
  6. 売買契約書締結、印紙税支払い
  7. 工事の進捗状況に応じて分割払い
  8. 引渡し

1.不動産購入の資金算段(自己資金、融資の確認)

自己資金が十分あるという方でも、日本円を持ってくると為替リスクがありますし、資金送金が問題無く出来るかというような現実的な問題もあります。またシンガポール在住でローンを組み、収入からローンの支払いをする場合には、綿密な資金計画が必要です。金利が上がった場合に余裕があるか、転職や解雇等予期せぬ場合余裕資金確保等も重要な検討課題です。またローンを検討している場合、ご自身で『これだけ収入があれば大丈夫だろう』と自己判断せずに実際に金融機関からAIP (Approval-in-Principle)と言われる確約を取って置くことが必要です。このAIPにはローンの総額毎月の返済額(元本⁺金利)が提示されますので、物件の価格から自己資金がいくら必要かまたその資金手当て、また毎月の返済額が収入等から判断して問題ないか等検討が必要です。また各銀行からの条件は同じではありませんので、複数行あたって条件を取るのが最適です。またシンガポール国民やPRの方はCPFの資金を不動産投資へ利用することも可能です。この辺は詳しい不動産エージェントからアドバイスを受けながら進めると安心でしょう。購入金額の20%、つまり5%の予約手付金は現金のみ、15%のオプション行使金についてはCPFや現金で賄わなければならないと定められています。

2.物件探しと数軒の候補プロジェクト選定

前項にて試算した予算をもとに物件探しを始めます。勿論どうしても気に入っている中古不動産を購入したいという場合もあるでしょうが、新規分譲物件は早めに購入すれば割安価格で買えるため購入後の価格上昇率が高い、また中古物件に比べ維持費用が安く済む等の理由から新規分譲物件が基本的にはお薦めです。また去年位から新規分譲物件がかなり多くでてきていること、これがまだ1年位は続きますので、同じような地域でも色々なプロジェクトが選択できるかと思います。

99.coではこの時点で不動産エージェントをつけるのが良いとしていますが、最初の資金算定の時点から売買に詳しいエージェントを頼むのが良いと思います。また99.coでは安く済ませる場合はエージェント無しのオプションもあるように記載しておりますが、新規分譲はディベロッパーがコミッションを払いますし、中古物件の場合も売り手が支払うコミッションを双方のエージェントで折半する普通ですので、購入者はコミッションの支払いは必要ないのが普通です。この点はエージェントを任命する時に必ず確認しましょう。また新規分譲の場合各プロジェクトの販売会場へ行くとそこにプロジェクト専属の不動産エージェントが居て色々説明してくれますが、これらのエージェントはそのプロジェクトを最優先に売りますのでプロジェクトに限定されないエージェントを採用したほうが良いかと思います。また新規分譲の場合、ディベロッパーによってコミッションの率が違います。コミッションが多くもらえる物件を強く推してくるエージェントも多いと思います。この辺もきちんと説明してくれる良心的なエージェントを任命するのが良いと思います。さて実際の物件選定ですが、以下のような色々な観点から見る必要があるかと思います。

  • 自己使用目的か投資目的か―自己使用である場合はご自身の観点から、投資目的の場合は賃貸者の観点投資効率の観点からの検討が必要です。
  • 場所ー勤務地や学校への通勤通学の利便性、近隣の環境(騒音、住宅地、繁華街、公園等)、利便性(交通期間、買い物や外食等)
  • フリーホールドか99年リース物件かー昔ほど価格差はありません。
  • コンドの特性ー大規模プロジェクトか個人まりした物件か、高層か低層か、施設の内容(テニスコート等、プールは大きいか、ジムの充実さ、ファンクションルームの充実等)
  • 維持費用ー高級物件か大衆向け物件か、メンテナンス費用の額、エアコン(ダクト式か壁掛け式)、白物電化製品のブランド

3.選定候補物件の内見と購入物件決定

ディベロッパーは実際の物件販売を行う1~2週間前に、実際の住戸を再現した展示用のショーフラット(Show Flat)を公開します。まだこの時点では実際の販売は行われず、実際の販売価格も提示されてない場合が多く、参考価格程度の提示となります。また是非購入したいと思えば、EOI(Expression of Interest:購入意思表示)Blank Cheque (金額などの記載がない白地小切手)を一緒に差し出し、売り出し日に抽選できるようにしましょう。金額を記入しないのは販売価格が公表されていないためで、実際の価格が決まればその販売価格の5%が記入されることになります。白地小切手は危険性が伴いますので、支払い先を公にされているディベロッパーの銀行口座名宛とし、個人名や宛名無しには絶対にしないでください。このEOIは購入確約ではなく、購入をしない場合はペナルティー無しで返却されます。これを出すメリットとしては、実際の販売会に招待され、抽選番号を取得できることです。本当にマーケットが好調の時には、抽選にも参加できないということがあるからです。

EOIを出す場合は、実際に購入したい特定の住戸をいくつか決めておくことが必要です。決まっていない場合や1つしか決めていない場合には、自分の抽選が回って来ても決められないとか、既に自分の欲しい住戸が売却済みとなっていて決められない等の状況になります。この場合には、次の抽選者に譲って待機場所で購入したい特定住戸を決めるまで待つか諦めるかということになります。ではどういう観点で特定住戸を選定すればよいでしょうか?

  • 価格が予算内であること
  • 部屋数、面積等が十分であること
  • レイアウト、部屋の向き、高層・中層・低層等の好み
  • 投資の場合は投資効率も(同じような広さであっても価格に大きな違いがある)

4.予約手付金支払い物件確保

抽選で特定の住戸を選ぶと物件確保となります。物件が確保されるとディベロッパーから、PDI『Property Details Information:物件詳細情報ー購入住戸のFloor Plan(間取図)、提供される備品等のリスト、コンドの内規等』が手渡されます。分からないことがあれば質問し、問題無ければ購入者がそれらに同意したことを示すため、各ページにサインします。この時点でディベロッパーからOption to Purchase(購入オプション契約)が交付され、あなたは正式にこの物件購入を確約したことになります。この時点で小切手にて購入価格の5%相当の手付予約金(Booking Fee)を支払う(既に白地小切手を振り出した場合は、これに金額が記入される)ことになります。これ以降気が変わりキャンセルをした場合は、5%の予約手付金の一部(通常はその25%)が没収されることになります。

5.弁護士を雇い、資金手当て確定

購入オプション契約出来るだけ早く融資銀行へ持参して、融資の確定手続きに着手します。遅くなるとこれから始まる分割払いの期限に間に合わないというリスクもありますので、できるだけ早く手続きしてください。銀行はまずLetter of Offe(オファーレター:融資の基本条件を記載した書面)を出してくれます。また同時に不動産の譲渡手続きを行う弁護士を任命します。銀行が推薦してくれる弁護士もおりますが、必ずしもそこを使う必要はなくエージェントとも相談してなるべく安くやってくれるところを探しましょう。

6.売買契約書締結、印紙税支払い

ディベロッパーはオプション契約の交付から2週間以内に売買契約書(Sales & Purchase Agreement)を送付してきますので、それから3週間以内に弁護士事務所にて売買契約書にサインをしてオプションの行使を行います。この時点で頭金の残りの金額、つまり購入金額の15%相当のオプション行使金(Exercise Fee)を支払わなくてはなりません。また印紙税も契約締結から2週間以内に支払う必要があります。

7.工事の進捗状況に応じて分割払い

売買契約書締結後から数カ月に一度工事の進捗状況に応じて分割払いが生じます。実際の支払いスケジュールは下で詳しく説明します。

8.引渡し

建設工事がほぼ終わり、入居可能となるのがTOP(Temporary Occupation Permit:仮入居許可)が監督官庁から出された時点となります。実際に住戸の鍵が引き渡されます。ただ新築の場合には、TOPから1年間はディベロッパーの保証期間となりますのでその間に発生した不具合についてはディベロッパーの負担で修理等が行われることになります。

新期分譲の契約及び支払いスケジュール

具体的な例として、シンガポール人夫婦の場合を参考に試算してみましょう。夫婦の合計所得が$14,000/月、不動産購入は1つ目、CPFの残高が$30,000とします。購入物件は$1,000,000、弁護士費用は$3,500、融資のための物件評価フィーが$350です。不動産ローンは1軒目ですので、借入比率は物件価格の75%とします。

ステップ
支払いフィー
工事進捗状況
  時期  購入金額
の割合(%)
 支払金額  資金源 
オプション交付物件確定5%  $50,000現金(CPFは
使えない)
売買契約書物件確定後
2週間
売買契約締結契約書受取後
3週間
印紙税売買契約締結
後14日以内
(確定後8週間)
1~3%
  $24,600現金/CPF
頭金支払い同上15%  $150,000現金/CPF
弁護士費用同上$2,500~
$4,000
$3,500現金/CPF
物件評価フィー同上$350~$500 $350現金/CPF
基礎工事完了分譲開始後
6~9カ月
10% $100,000現金/ローン
躯体工事完了上記6~9カ月後10% $100,000現金/ローン
内部壁完了上記3~6カ月後5% $50,000現金/ローン
天井工事完了上記3~6カ月後5% $50,000現金/ローン
戸窓配線配管上記3~6カ月後5% $50,000現金/ローン
駐車場道路上記3~6カ月後5% $50,000現金/ローン
TOPTOP発行時25% $250,000現金/ローン
完工証明完工証明発行15% $150,000現金/ローン

上記合計金額は$1,028,450となるが資金原内訳は以下の通りですが、CPF残高がたくさんあれば現金拠出は最低の$50,000だけで済みます。

  • 銀行ローン - $750,000
  • CPF     - $30,000
  • 現金    ー $284,450

中古・完工済み分譲物件の場合

  1. 不動産購入の資金算段(自己資金、融資の確認)ー新規分譲参照、AIP取得
  2. 物件探しと数軒の候補コンド選定ー新規分譲参照
  3. 選定候補物件の内見と購入物件決定ー見たい物件の内見を行い気に入った物件があれば価格交渉
  4. 予約手付金支払い物件確保ー1%のオプションフィーを支払いOTPを交付。この後のキャンセルでは、オプションフィーは没収される。
  5. 弁護士を雇い、資金手当て確定-新規分譲参照
  6. OTP交付2週間以内4%のフィーを支払ってオプション行使
  7. 印紙税支払いーオプション行使から14日以内印紙税支払う。
  8. 売買契約ー家主側が売買契約書を作成締結、売買契約の完了(引き渡し)日程を決め
  9. OTPから8~12週間後に、売買契約の残金を支払い売買完了し引渡し。