21年2月7日のストレイトタイムス誌に『不動産投資で失敗しないための4つのアドバイス』と題する記事が掲載されたので、その要約と私の感想を交えてお話したいと思います。この記事の筆者は2010年からhttp://www.propertysoul.com/というウェブサイトで不動産投資関する情報を提供し、同時に読者から様々な不動産投資に失敗談が寄せられたということです。その中で4つの重要な助言をこの記事でシェアしています。
- 群れに追随するな
90年代半ばシンガポールでは加熱した不動産市場を恐れずに、多くの人が夜中から不動産の販売会場に行列を作った。96年に政府が抑制策を発表し、それから2年で不動産価格は45%下落した。96年以降アジア通貨危機、SARS、アメリカのサブプライム問題等でシンガポールも大きな打撃を受けた。ある投資家は、『マーケットは出来る限りの人間を陥れ、何と馬鹿なことをしてしまったかを気づいた時には破産している』という言葉を残している。ということで他の人がやっているということでそれに流されてはいけないという助言です。
全くその通りで、不動産市場に関わらず投資市場では皆が買いに入る時は時すでに遅しで、暴落の前触れとなっていることは歴史を見ると明らかです。知識や経験のある投資家はその数年前に投資しており、多分その頃には売り抜いているでしょう。数年前からシンガポールで日本の不動産を販売する動きがありましたが、その時に日本の不動産関係者は『日本では売れないので、海外で売っている』という話をしていました。
- 機会損失を恐れての投資はするな
多くの場合軽はずみな判断は、無くなってしまうという恐れから来ます。
- 『中古物件を購入するのは、最初の購入者が利益を獲得するのを助けるだけですよ』、多分これは新規分譲を勧めるエージェントが使う文句でしょう。
- 『これが最後の2ベッドですよ』というのも良く使われるセールストークですが、他の人に取られてしまうことを恐れて衝動買いしてしまう。
- 『ディベロッパーが明日から販売価格をあげるので、今の価格で買えるのは今日が最後です』というのも良く使われるセールストークです。
- 『銀行に預けた預金は、インフレで価値がどんどん下がるので不動産を購入するのが得策です』も良く聞かれます。
コミッションを稼いで自分の生活費を賄おうというエージェントと機会を失いたくないとする購入側の駆け引きです。2018年7月5日、住宅不動産購入追加印紙税が翌日から5%上げられるというニュースが出るや否や販売会場に押しかけてその日のうちに物件を購入した1,000人もの投資家は自分が何をしているのか分かっていたのだろうか?次の電車はまた来るというのに、ドアが閉まりかけている電車に駆け込んで乗車する必要があるのだろうか?
確かに不動産エージェントは上記のような謳い文句で、購入を働きかけます。不動産は高い買い物ですので、やはりじっくり検討した方が良いと思います。ただ日本だけでなくシンガポールも低金利がずっと続いています。余剰資金を銀行預金に預けておくのは、確かにもったいないです。不動産以外にも、株式市場(特に素人はインデックス投資に限定すべきと思いますが)等、他にも投資先はあります。ただ不動産投資の良いところは、株式投資などと違い流動性が低く、価格変動もゆっくりですので、デイトレーダーのようなことが出来ないというのが素人にとっては利点です。
- セールストークは割り引いて聞け
不動産エージェントは新規分譲案件を薦めます。これはコミッションが3~5%と高いからです。中古住宅の場合売り手からもらえるのは1~2%です。SNSでも良く、HDBを売却してコンドを購入した方が得というような宣伝を見ると思いますが、単純にその話に乗ってはイケません。またコンドは1つだけではなく、夫婦別々に2つ購入することで追加印紙税を避けることが出来るということも宣伝されています。確かに2つ購入が出来る余力があるとしても、実際にローンが承認されるかどうか確認するまでは契約してはいけません。売買契約をキャンセルすれば大きなペナルティーがかかります。
確かに中古不動産の売買は1~2%でそれを売り手と買い手のエージェントが折半しますので、1人のエージェントが貰えるのは多くて1%ということになります。新規分譲のコミッションは売りやすいマーケットかどうかにより変動します。2014年以前のマーケットでは1%を下回っていたコミッションも、マーケット冷え込みのため大きく上がりました。最近は2~3%に落ち着いているようです。また同じコンドでも大きな面積の物件は売り難いため、それより高いコミッションを貰えることが多いようです。また新規分譲の場合は、ディベロッパー側を代表する販売会場常駐のエージェントは別枠でフィーが貰える為、自分が連れて行ったお客さんが成約すれば、上記のコミッションを丸々貰えるため中古物件より2~4倍のコミッションがもらえることになりますので、勿論新規分譲を成約する方が稼げます。ただ、全うなエージェントは売り切りでお仕舞ではありません。マーケットの変動があっても最終的に買ってよかったと思ってもらえなければ、そのお客さんは2度と戻ってきません。厚い信頼を得ることで、投資家であるお客さんを長年ずっとお世話をしているエージェントがたくさんおります。弊社などでも、夫婦別々に物件購入等を薦めていますが無理な資金計画ではなく、金利が高くなるなどの不測の事態を考慮した資金計画を立てて、無理のない投資をアドバイスしております。実際に物件購入を考えている方は、中古物件や新規分譲のマーケットデータやコミッション率を数名のエージェントに聞いてみてください。その回答で信頼できるエージェントかどうかわかると思います。
- 過剰宣伝に踊らされるな
数年前までは、小さい『靴箱』コンドが投資に良いと言われてました。コロナ禍では、在宅勤務が標準化し今は大きめの物件を探す人が増えています。エージェントのアドバイスで小さい物件を購入した人は、悪い買い物をしたことになります。自分が傷まないで良いとこ取りのエージェントの話に踊らされないで、自分できちんと調査研究してください。昨年12月シンガポールの金融庁は、不動産の購入に警鐘を鳴らしております。ローンへ過度に依存した投資には特に注意を喚起しています。自分が投資家として思うのは、楽観的な投資家より悲観的な投資家の方がよりマーケットを深く理解しているからです。
シンガポールの住宅不動産の将来を考えると、以下のことからコンド等民間住宅投資はマイナス要因がありません。
- この国のほぼ独裁の政治体制
- リークワンユー元首相は日本と同じ轍を踏まないように、外国人を入れることで経済を成長させた、与党のPAPはこの方針を堅持
- シンガポール人のコンド居住率も徐々に上がっている
- 出生率が日本より低い状況からHDBの将来は悲観的だが、外国人が増えるということからコンドは長期的に見て価格は上がっていく
ただ世の中には絶対という保証はありません。また不動産価格が高額となってしまったことや、不動産購入にかかる追加印紙税が外国人には20%という現状を考えると、誰にでもお薦めするものではありません。シンガポールに生活の基盤のあるシンガポール国籍(もしくは配偶者がシンガポール国籍の方)、追加印紙税が5%と低いPRの方はなるべく早めに購入した方が良いでしょう。シンガポール国民と同じ税率扱いを受けるアメリカ国籍やその配偶者の方も同じです。日本だけに資産を置いておくのが心配な富裕層の方も検討されることを御薦めします。